交通事故における参考裁判例(過失割合:高速道路における車線変更)~大阪地方裁判所平成24年3月23日判決
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【高速道路上の「走行車線から追越車線への進路変更」における過失割合】
交通事故の解決にあたり、参照されることが多い、別冊判例タイムズ39においては、
(別冊判例タイムズ38が改訂されました。)
高速道路における進路変更のうち、
「走行車線から追越車線へ進路変更する場合」
の基本的な過失割合を、
「追越車線の後続直進車:走行車線からの進路変更車=20:80」
としています(別冊判例タイムズ39、【Ⅶ-4】図)。
【実務的な観点から】
一般道や高速道路を問わず、進路変更(車線変更)による交通事故については、
特に、「進路変更車に衝突された自動車のかた」から、
「自分に過失が生じることは納得できない」
と、弁護士相談をいただくことが非常に多いです。
稲葉弁護士の私見ですが、別冊判例タイムズ39、ひいては裁判所の考え方が一般人の考え方と乖離しており、そもそも適切でないのではないか、と感じています。
それはそれとして、
別冊判例タイムズ39の考え方(ほぼ、裁判所の考え方といってよいと思います。)によっても、
合図なしや合図遅れは「10%の過失修正要素」とされています(進路変更車に10%の過失が加重される。)。
そのほかにも、10~20%の過失修正要素が示されています。
では、具体的に、
「直進車には過失がない」、すなわち、進路変更をした側に100%の過失があるとした裁判例として、いかなるものがあるのでしょうか。
【進路変更車に100%の過失があるとした裁判例】
この点、
大阪地方裁判所平成24年3月23日判決(自保ジャーナル1878号134頁)をご紹介します。
大阪府豊中市の中央自動車道西宮線名神下りで発生した交通事故です。
走行車線を走行していたトラックが、追越車線に車線変更したところ、トラックの右後部が、追越車線を走行していたレクサスに当たりました。
大阪地方裁判所第15民事部(交通部)の宮崎朋紀裁判官は、
トラックが「右ウィンカーを点滅させ、それと同時くらいにハンドルを右に切り」「車線変更」したと認定した上で、
トラック側は「走行車線から追越車線に車線変更するに際し、追越車線を後方から進行してくる車両の速度または方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない注意義務を負っていたが」「これに反して車線変更をした過失があ」り、加えて「上記車線変更は高速道路上で双方の車両が高速で走行している際にされたこと」、「右ウィンカーを点滅させるのと同時くらいに車線変更をしたこと」、その時点でレクサスがトラックの「すぐ右後ろに迫っていたこと」などの事情がある反面、
レクサス側は「追越車線を通常どおり走行し」ていたが「トラックが急な車線変更」をしてきたため「これを避けきれなかった」と判断し、
トラック側の過失が100%である、と結論づけました。
【参考条文】
(進路の変更の禁止)
道路交通法26条の2 車両は、みだりにその進路を変更してはならない。
2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。