Solution to Traffic Accidents交通事故解決ガイド

交通事故における参考裁判例~自賠責保険が定める「後遺障害等級の程度」に達しない「外貌の醜状障害」について

ガイド一覧へ

外貌に醜状障害が残ってしまったものの、
自賠責保険が定める後遺障害等級の程度に達しない場合の、裁判例について、まとめました。

もっとも、稲葉弁護士の主観ですが、
日本の裁判所は、自賠責保険が定める後遺障害等級認定の基準に縛られ過ぎており、
特に、外貌醜状の場合、逸失利益が算定されないことが多々あることも考えると、
被害者の心情に十分に寄り添った認定をしていないと思える場合も、少なくはありません。

また、物損の場合に、自動車に少々の傷が残ったときでも、相応の修理費を認定することとの均衡も保てていないと考えます(自動車に傷がついた場合よりも、人間に傷がついた場合のほうが、より補償されてしかるべき、と言えると思います。)。

交通事故の被害者側の弁護士として、
裁判所の姿勢は「十分に満足できるものではありません」が、
外貌に傷痕が残ってしまったものの、自賠責保険が定める後遺障害等級の基準に達しないため、
後遺障害等級「非該当」となってしまったからといって、
「その点は評価されないものと簡単にあきらめるべきではない」と言えます。

なお、本稿の議論とは、ずれますが、
損害保険料率算出機構自賠責損害調査事務所で、等級認定実務に携わってこられたOBの方と議論したところ、
「上下肢の醜状障害」の場合は、「被害者自身」の「手のひらの大きさ」と比較するのに、
子どもの外貌醜状について「成人と同じ基準で判断する」のは、公平ではないのではないか、との問題意識があった、
と聞いたことについては、この場を借りて、お伝えしておきます。
 
裁判日 裁判所 部位 醜状の形状等 達しなかった自賠責認定基準 認定金額
(後遺障害慰謝料)
理由等
H7.1.27 東京地裁 頚部 左の下顎部に長さ4cm、幅0.5cmの瘢痕 鶏卵大 200万円 交通事故により顔面等に残った瘢痕等は、自賠責保険の関係で後遺障害の認定基準に達するものではないとされたとしても、そのことのみをもって慰謝料請求の対象となる後遺障害は残存していないとすることはできない。慰謝料請求の対象となる後遺障害といえるか否かは、瘢痕の部位、大きさ、色彩、被害者の性別、年齢、職業等の諸般の事情を総合して決すべき。該当の瘢痕は、頚部にあるとはいうものの顔面部に近く、その長さからしても決して小さいとはいえないものであって、みみず腫の状態になっており、特に横から見た場合は人目につきやすいものであって、衣服や髪によって隠すことが困難であること、被害者が症状固定時20歳の女性であること、自賠責では顔面部であれば長さ3cm以上の線状痕は外貌醜状として評価されることなどを考慮。
H13.4.24 大阪地裁 顔面 ・右額部に直径2cm以上の陥没・隆起痕
・右鼻翼下付近の長さ15mm、幅5mmの白っぽい線状痕(口唇瘢痕拘縮)
10円玉硬貨大
3cmの長さ
200万円

200万円の後遺障害慰謝料が認定されているが、14級2号の後遺障害と併せて考えられているため、醜状部分のみであればどの程度の金額認定になったのかは不明
2段階の認定基準の中間的な場合や認定基準にわずかに達しないような場合は、後遺障害等級が細分化されていないため、必ずしも妥当な後遺障害の等級を定めることはできないから、その後遺障害の程度を定めるに当たっては、醜状障害の部位、形状のほか、被害者の年齢、職業、配偶者の有無、その他の事情を総合考慮して、具体的に決定するのが相当。該当の醜状は2か所あり、そのいずれもが単独では12級14号の基準には達していないものの、ほぼこれに近い大きさを有しているものであること、特に上口唇瘢痕拘縮は顔面のほぼ中央部に位置していること、被害者が症状固定時30歳の未婚女性であり、顔面の醜状が結婚相手を探すうえで全く影響しないとは言い切れないことなどを考慮。
H13.9.14 東京地裁八王子支部 顔面 上口唇部に約1cmの隆起 3cmの長さ 100万円 傷痕の形状のほか、被害者が独身女性であること、航空機の機内通訳の乗務員という容姿が重視される性質の職務についていること、職場の同僚から外貌の変化を指摘されるなどして多大な精神的苦痛を受けていることなどを考慮。
H14.11.25 東京地裁 右下腿 ・右下肢外側に長さ23cm、幅5㎜から3.5cmの線条痕
・右下肢内側に直径1から2cmの傷痕及び手術のボルト穴痕
手のひら大 150万円 醜状痕の部位、内容、程度(傷を気にしてスカートをはかない、プールに入るのも苦痛)のほか、将来の手術の可能性、被害者が症状固定時10歳の女児であることなどを考慮。
H16.1.26 東京地裁 顔面と頭部の境目(頭髪内と生え際) ・前額部左側に約30mm四方の軽度隆起と17mmの縫合痕
・前頭部やや左寄りに幅6mm、長さ14mmの線条痕
頭部については鶏卵大
顔面の頭髪に隠れない部分については10円玉硬貨大もしくは3cmの長さ
200万円 被害者の瘢痕は、頭髪内と前額部の髪の生え際で髪型によっては隠れてしまう場所にあり、写真上でも大きく目立つ醜状痕とは見受けられず、大きさ・場所・色素沈着の程度からは12級14号の醜状障害の程度に至っていると見るのは疑問である一方で、年齢とともに瘢痕が薄れていると認めるに足る証拠がないこと、5歳の被害者が年頃になれば醜状を気にするであろうこと、頭蓋骨に穴が開いており、生涯にわたって頭内部にネジ留めされた金属板が存在すること等を考慮。
H17.5.30 東京地裁 顔面 鼻根部に直径1.5cm大の色素沈着・毛細血管拡張 10円玉硬貨大 200万円 部位、大きさ、色素沈着の程度を考慮すれば化粧等で隠すことも可能で、レーザー治療による改善の可能性もないとは言えないが、女性の顔面に醜状痕が残った場合は自賠責の後遺障害等級に該当する程度に至らないとしても日常生活や精神面における影響は無視できないものであること、被害者の職業がモデルであり、事故後にモデルの仕事を受けることができなった結果仕事を廃業していることなどを考慮。
H17.11.25 大阪地裁 頭部 前頭部の生え際に4cmの線条痕 鶏卵大 60万円

認定された後遺障害慰謝料は750万円だが、うち690万円は9級の後遺障害慰謝料と考えられるため、差額である60万円が醜状障害部分と考えられる。
(症状固定時15歳の高校生について)額の上の生え際に線状痕の醜状が残ったことを考慮。

前のページへ

交通事故被害は無料相談のご予約を!

相談料・着手料0円

弁護士による示談書無料診断も行っています!

  • 096-342-7707 平日9:00~19:00/土曜12:00~17:30096-342-7707 平日9:00~19:00/土曜12:00~17:30
  • メールでのお問い合わせ 24時間受付中!メールでのお問い合わせ 24時間受付中!

弁護士費用特約がある場合は
特約保険会社に相談料を請求させていただきます。

ページトップヘ