Solution to Traffic Accidents交通事故解決ガイド

店舗内事故における責任認定にあたり参考となる裁判例(責任肯定)~岡山地方裁判所平成25年3月14日判決(アイスクリーム事件)

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【店舗内の通路や床面で滑って転倒した事故の責任】
交通事故ではありませんが、日常生活で起こる事故のうち、比較的発生件数の多いものとして、
「店舗内の通路や床面で滑って転倒した事故」
があります。
 
店舗側がきちんと清掃等をしていれば事故が起きなかったとも思える反面、
足元に気を付けていればよかったのではないか、そこまで店舗側は注意しなければならないのか、
とも思えます。

この点、どの程度の事情があれば、裁判所は、店舗側に責任を認めているのでしょうか?

 
【岡山地方裁判所平成25年3月14日判決(アイスクリーム事件)~責任肯定】
岡山市内のショッピングセンターのアイスクリーム売り場前の通路で、
大型ショッピングカートを押していた70代の女性が、

「床に落ちていたアイスクリーム」に足を滑らせて転倒し、
右大腿骨顆上骨折・第2腰椎圧迫骨折の傷害を負った事案です。

アイスクリームが原因となったので、ここでは、便宜的に、アイスクリーム事件と呼びます。
女性側が、ショッピングセンターの運営会社を訴えました。
 
岡山地方裁判所(担当裁判官:世森亮次)は、この事件において、
ショッピングセンター運営会社には、
「不特定多数の者を呼び寄せて社会的接触に入った当事者間の信義則上の義務として、不特定多数の者の日常あり得べき履物、行動等、例えば、買い物袋を載せたショッピングカートを押しながら歩行するなどは当然の前提として、その安全を図る義務がある」と判断し、
 
・事故当日は、「○○の日」として一部のアイスクリームが値引販売されていた。
・事故当日は、ハロウィンでもあった。
・そのため、多数の客が集まり、事故当時も約20名の客が行列をつくっていた。
・売場の飲食スペースには机と椅子が少なかった。
・アイスクリームという商品の特性。
から、
「本件売場でアイスクリームを購入した顧客が本件売場付近の通路上でこれを食べ歩くなどし、その際に床面にアイスクリームの一部を落とし、これにより上記通路の床面が滑りやすくなることがあることは容易に予想される」
と判断して、
 
ショッピングセンターの運営会社に、
「顧客に対する信義則に基づく安全管理上の義務」
を尽くしていなかったとして、責任を認めました。
(女性側には、足元への注意を払うことを怠ったが、ショッピングカートを押しており、前方の床面が見にくい状況であったとして、結論的には、過失相殺2割を行いました。)
 
 
なお、本件では、
変形性膝関節症の既存障害があり、かつ、「変形性膝関節症のため右膝痛の緩解困難と考える」旨の医師診断がありましたが、
岡山地方裁判所は、受傷と右膝関節の可動域制限(後遺障害)との間の因果関係を認め、既往症減額も行いませんでした。
 
 
参考までに、本件担当の世森亮次裁判官は、
司法研修所教官や、最高裁判所情報政策課情報セキュリティ室長・情報政策課参事官・総務局参事官、最高裁判所サイバーセキュリティ管理官・デジタル基盤管理官・デジタル審議官付参事官、大阪地方裁判所部総括判事などを歴任している裁判官です。

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